以下の図面が構図、ではなく、「 公図 」です。
見る人は見慣れているし、見ない人は全く見ない。しかし厳然と存在して日本国が管理し、その巨大な土地利用の根幹にある図面です。
( ↑はダウンロードのため、多少重いです )
この図面も一般の人が見るときは土地の形状と地番の確認をするくらいだと思いますが、資格者(調査士)が見るときにはまた違った読み方をします。以下は上の図面に便宜的に振った番号部分についての説明になります。
*黄色は見えなくなるため、背景を付けました。
1、ごらんのとおり、図面の縮尺倍率です。1/600とあります。調査士的にはこの時点で現地の境界はあいまいだなという判断をします。理由はいたって簡単で、この図面は尺貫法の頃(明治時代など)に作られたものとわかるからです。測量技術の上がった現在のものは基本的に1/500や1/1,000などの 5の倍数で書かれています。
2、ここは記載があるときには甲1甲2乙1乙2などと書いてあり、測量法でいうところの誤差の許容範囲を示しています。甲ならもちろん精度的にシビアで、乙はそれほどでもなくということです(都市部か村落かということが主に関わる)。この図面にある\という記載は「精度区分なし」という、言ってみれば試合放棄の状態であり、精度はほぼ期待できないということになります。続く「 座標系 」というのは今でいう世界測地系の地域番号で、これもまた当然にないという地域になります。
3、分類の項目の「 地図に準ずる図面 」という記載は、まさに「 準ずる 」ものであって「地図」ではないということを表しています。図面中段の注意書きにあるとおり、「地図」が作られるまでの仮の図面ということで、反対に「地図」と書いてある図面は精度が高く、現地確認は容易と考えられ、不動産登記法上でいうところ14条地図(高精度地図)ということになります。
4、この「 旧土地台帳付属地図 」というのは、登記所が作られる以前、役所の税務課が土地の管理に利用していた税務台帳についていた図面ということを表しています。簡単に言えば結構な昔の図面ということです。この欄には他に「地籍図」「土地区画整理図」「土地改良図」などと書いてあるものがあり、その場合はそれぞれ事業主体は異なりますが、何かしら精度を期待できそうな測量が過去に入っていたということが分かります。
5、土地に振られたおおやけの管理番号のようなものです。人口の密集しているところでは別に何丁目何番何号という「 住居表示 」をしているところがあり、測量・調査が入って初めて地番を知ったという方も多々いらっしゃいました。
公的機関が境界の確認を行なう「 地籍調査 」は昭和26年から始まったようですが、日本全体に占める事業の進捗率はいまだ半分を少し超えるくらいとのことです。東日本大震災後の復興工事の難航を引き合いに出すまでもなく、土地の速やかな利用のためにこの事業の加速度的な進捗が求められているのは言うまでもありません。
誠に簡単ではありますが、以上で「 公図 」のお話を終わります。
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